Byteballの未来

DAGベースの暗号通貨 Byteballの情報を発信

DAGベースの暗号通貨 Byteballとは。

本記事ではDAGベースの暗号通貨 Byteballの概要について説明します。一通り読むことでByteballの特徴や現在の状況について理解ができるかと思います。細かい内容については記事内のリンクをご確認ください。

 

Byteballとは

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Byteballとは通貨などの社会的価値を示す任意データの分散型管理システムです。

ビットコインをはじめとする多くの暗号通貨はデータ構造にブロックチェーンを使用していますが、ByteballはDAG(有向非循環グラフ)を使用している点が他の通貨との大きな違いになります。

コンセプトにSmart payments made simpleとあるように、Byteballではスマートコントラクトを扱うことかでき、 例えば見ず知らずの人とも価値のやり取りを行ったり、P2Pの保険などが利用できます。

・Byteball 日本語 公式HP
・Byteball ホワイトペーパー

 

DAG(有向非循環グラフ)とは

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DAGは日本語で有向非循環グラフといい、ノードと向きを持つエッジにより構成され、巡回しない構造のグラフのことを指します。ByteballはDAGをデータ構造として利用しています。

ビットコインにおけるブロックチェーンの場合、複数のトランザクションデータを格納したブロックを一方向に連続してチェーンのような構造にしていますが、Byteballの場合はブロックという単位がなく、雪玉のようにトランザクションがリンクしていくため、ブロックサイズの問題がなくスケーラビリティの問題が理論的に解消されています。(DAGの詳しい記事については執筆中) 

2018年2月に本番ネットワークを利用した負荷テストが有志によって行われており、ピークのパフォーマンスで17tps(transaction per second)、平均は10〜15tps 、100tx時に5tpsまで減少といった結果となっています。
 

コンセンサスアルゴリズム

Byteballのコンセンサスアルゴリズム同じアドレスが作成したトランザクションに対して順序を付けることで、同一ユーザが複数の同一ノード(トランザクション)を作成していた場合に順序が先に来るものを正しいトランザクションとして処理することで二重支払いを防ぎます。順序が明確ではない場合は、ユーザごとに設定している12人のwitnessによって、ノードに順序をつけます。詳細は下記記事を参照してください。

・Byteballの合意形成アルゴリズムについて

 

ネイティブ通貨 byte

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上記で説明したように、Byteballは通貨などの社会的価値を示す任意データの分散型管理システムであり、分散管理ストレージ(DAG)にデータを格納するためにネイティブ通貨であるbyteを支払う必要があります。支払う額は保存するデータサイズに比例し、1バイトのデータを格納するのに1byteが必要になります。

最大供給量は1,000,000,000,000,000 bytes (100万GBytes)となります。bytesには単位があり1,000,000,000,000,000 bytes という数値はByteballの開発言語であるjavascript(Node.js)で表現できる整数の限界値から決定されたようです。

 最大供給量
= 1(ペタ) Pbyte
= 1000T(テラ) bytes
= 1,000,000 G(ギガ) bytes
= 1,000,000,000 M(メガ) bytes
= 1,000,000,000,000 K(キロ) bytes
= 1,000,000,000,000,000 bytes 

Bittrexをはじめとするほぼ全てのの取引所ではGbyteを上場単位としております。これはBTC建で見た時に、0がたくさん並ぶことを避けるためだと言われています。しかしその反面、ドルや円などの法定通貨建だと単価が高い通貨に見られてしまう一面があり一長一短です。こういった背景から上場単位の投票を受けて2018年2月にKKEXという取引所が初めてByteballの単位をMBytesで上場させました。

 

ネイティブ通貨の配布

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ビットコインはネットワークを維持するマイナーにインセンティブとしてビットコインが新規発行される設計になっていますが、Byteballのネイティブ通貨bytesは、ディストリビューションという形でユーザに徐々に配布していくという方式を取っています。

具体的には100万GBytesのうち、1%は開発者に対する報酬、1%はコミュニティのファンドに当てられ、残りの98%はエアドロップ(2018年2月 中止が発表済)キャッシュバック、リファラルプログラム等のディストリビューションでユーザに配布がされている最中です。

Byteballのビジョンは現実世界で実際に使われる通貨になることであるため、いかに多くのユーザに渡るかが配布の設計に表れており、フェアな設計になっているとの声が多いです。

・ByteballのAirdrop(エアドロップ)とは。
・Byteballのキャッシュバックプログラムとは。日本のキャッシュバック店の紹介も
・ByteballウォレットのボットからKYCが可能に。同時に$20相当のbytesがもらえる紹介プログラムも。 

 

開発状況f:id:taigok:20180226202328p:plain

Byteballは2016年12月にロシアの開発者Tonychがローンチをし、フルタイムの開発者が3人います。他の暗号通貨と比べると少数になると思いますが、開発は活発に行われており、新機能が数多くリリースされています。開発言語はNode.jsになります。GitHubこちら

最近のリリースでは、送り先がByteballのウォレットを持っていなくても、メールやチャットアプリで bytesを送ることができるtextcoinという機能がリリースされています。

・Byteball 2.0リリース。メール、チャットアプリでByteballを送ることが可能に。

 またサードパーティによる開発も多く、 バイナリオプションができるWebアプリケーションがリリースされたり、ギフト券が作成できるチャットボットなどがリリースされています。

・Byteballのキラーアプリ登場。Byteballで通貨の上下を予想するbinaryballsをやってみました。
・アイディア広がる。Byteballでギフト券の作成、受け取りができるサービスがローンチ。

日本のコミュニティでも開発のための情報が徐々にまとまってきています。Byteballが今度さらに発展していくには、より多くの開発者がコミュニティに集まることが重要だと考えます。

・Byteball開発者向け情報wiki
・技術発掘

 

DAGベースのその他暗号通貨

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データ構造にDAGを使ったその他暗号通貨にはIOTA、Nano(旧RaiBlocks)があります。海外ではよくByteballとこれら通貨との比較がされているのをよく見ますが、あくまでデータ構造にDAGを使っているというだけで、コンセンサスアルゴリズムも異なり、目指している方向性は違うと考えています。

個人的にはスマートコントラクトや決済といった文脈で考えると、ライバルはまだまだ遠い存在ですがErthereumやBitcoin Cashではないかと考えております。

・IOTA - Next Generation Blockchain
Nano – an instant, zero-fee, scalable currency

ここまでByteballの概要について説明しました。ここからは特徴や問題点について説明します。

 

特徴①:トランザクションの手数料が低い

Byteballのトランザクション手数料は、前述した通りトランザクションをDAGネットワークに格納するためのデータ量に比例し、1バイトの情報量に対して、1byteになります。2017年12月現在のレート1GB=70000円で換算すると、1byte = 0.00007円になります。

実際にbyte送金時のデータ量を見ると約600 bytesとなっており1トランザクションあたりの手数料は、0.00007(1byteあたり)円×600(1txあたり)bytes=0.042円となります。

Byteballのトランザクション手数料についての考察。ビットコインと比較。

 

特徴②:スマートコントラクト

Byteballはスマートコントラクトを実装可能なため、条件付き支払い(送金時に設定した条件を満たさなかった場合に戻ってくる仕組み)、P2Pの保険、予測市場P2Pのゲームが現在利用可能です。(詳細記事執筆中)

Making P2P Great Again – Byteball – Medium

  

特徴③:トランザクションが早い/ファイナリティがある

ビットコインの場合、マイナーがブロックに作成したトランザクション(取引)を含むのを待つ必要があり、1承認まで10分程度の時間を要し、ファイナリティ(決済の確定)は確率的です。

Byteballはブロックがなくトランザクション作成後はDAGにすぐ追加がされるため、トランザクションが高速です。ホワイトペーパーでは承認時間の30秒程度になるように見積もられていますが、実際は10分弱かかっている状況です。またビットコインと異なり、ファイナリティがあります。 

 

特徴④:豊富な機能 公式ウォレット(iOS/Android/MacOS/Windows対応)

Byteball公式ウォレットは多くの機能が実装されております。下記に例を挙げます。

  • 基本機能(byteの送受信、アドレスのQRコード読み込み)
  • ウォレットからKYCが可能で個人情報を登録 (ICOに利用可能予定)
  • マルチシグのウォレットを作成可能
  • ウォレット間でのチャットによる支払い
  • 誰でもウォレット内のBot Storeにボットをローンチ可能

・ByteballウォレットのボットからKYCが可能に。同時に$20相当のbytesがもらえる紹介プログラムも
Byteballウォレットのマルチシグ機能について。

Byteball公式ページからウォレットをダウンロード可能です。iOS版はAppStoreにリストされていないため、Xcodeを使用してiPhoneに入れる必要があり、動作も不安定なためおすすめしません。

 

特徴⑤:アセットの発行が可能

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Byteballのデータベースはあらゆるデータの不変ストレージとして設計されているため、誰でもアセットを発行することができます。Byteballで発行されたアセットの一覧はこちらになります。

ページを見ると1番最初にByteball上で発行されているアセットはblackbyteという匿名通貨です。日本コミュニティから生まれたキャラクターのbyteball chanのアセットも確認することができます。

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この機能を利用してICOを行なっているプロジェクトが下記になります。 

・Titan Coin - The strongest crypto currency
・Silent Notary

 

特徴⑥:価格決定のファンダメンタルズがある

広く利用されることを目指す通貨にとってボラティリティ(価格変動性)が高いことはネガティブな要素になります。暗号通貨全体にも言えますがByteball価格の価格変動はとても高い状況です。しかしByteballには1バイトのデータ格納に1byte必要という仕組みがあり、この手数料価格がByteballの長期的に見た適正価格を決定するファンダメンタルズになると考えます。

1トランザクションは700bytes程度なので、現レートで0.07円ほどになり、これをユーザが高いと見るか、安いと見るかで徐々に適正な価格へと収束していくと考えます。

・Byteballの長期的に見た適正価格に関して。

 

ここまでByteballの特徴について説明してきました。ここからは現状の問題点について考察します。

 

問題点:プロジェクト全体が中央集権的 

ByteballのファウンダーTonychの一存でコミュニティマネージャ等のメンバの選出や、エアドロップの廃止等を行なっているようで、プロジェクト自体がとても中央集権的な状況になっていると思います。

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一部Cashback Witnessというサードパーティが運営しているWitnessもありますが、現状ほぼ全てのWitnessがByteball開発者によって運営されており、分散化が求められています。Witnessに関しては、今後その他のエンティティに渡されていく予定です。

Witness一覧はこちら。
Byteball Witnesses monitoring service

 

購入できる取引所

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2018年2月現在のByteball取引所別 取引高一覧

2018年3月現在、日本の取引所で購入できませんが、下記の取引所・交換所で売買が可能です。(新規アカウント停止や、送受信停止などがあるかもしれませんので、ご自身でご確認ください。)

 

Byteballの近況・今後について

・配布について

2018年2月にエアドロップによる配布の中止が決定し、これからはキャッシュバックやリファラルプログラムや新しい配布プログラムで未配布分のbyteを配布していくことになります。これまで通りフェアでより多くのユーザにByteballが普及するプログラムが発表されるのを期待しましょう。

 

・決済の利用について

Byteball決済導入店は徐々に進んでおりますが、ヒアリング等をした結果、利用自体はほぼないようです。上述の通りエアドロップが終了し、今後は実需をいかに増やすことができるかが重要になっていくでしょう。

 

マーケティングについて

これまでマーケティングに力を入れていかなかったためか、実力に対しての認知度が低いということも否めません。これについては、マーケティング担当 Eli Tarantoが入ったことで徐々に改善されることを祈ります。

 

ICOプラットフォームとして

またICOのプラットファームとして、ウォレットからKYCが行え、BTCやETHで支払いができるなど、着々と準備が進んでいます。

 

・企業との提携

Jumio社とKYCでの協力や、IoT企業であるConnax社とも提携を結び、徐々に現実世界との結びつきを強めています。

・Bringing Identity To Crypto – Byteball – Medium
・CONNAX partners with one of the World’s most promising cryptocurrencies - Byteball.

 

Byteball コミュニティへの参加方法

Byteballには日本コミュニティがあります。キャラクターコンペや開発コンペなどを行い精力的に活動を行なっています。2018年2月にサンタルヌーでミートアップを行うなど、徐々に結束力が高まっている印象です。下記にメールアドレスを入れて申請をすれば招待可能ですのでぜひご参加ください。

Byteball Slack 申請フォーム

・暗号通貨コミュニティで擬似スタートアップを経験してみよう

 

以上、Byteballの概要について説明しました。これからの記事でも引き続きByteballについて紹介していきたいと思います。 TwitterでもByteballについてツイートしていきますのでよければフォローください。

TK (@taigokuriyama) | Twitter